西山晃世 × 幾田りら × 小玉ひかり
2020年のインタビューを、2026年に読み直す。
2020年、音楽から「場所」が消えた。
2020年。
世界が、それまでとはまったく違う時間の中に入った年だった。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、ライブやイベントが次々と中止になり、ライブハウスから音が消えていった。
アーティストにとって、ステージに立つことも、観客の前で歌うことも、当たり前ではなくなった。
それでも、音楽は止まらなかった。
YouTube、SNS、配信ライブ。
ステージとは違う場所から、自分たちの音楽を届けようとする若いアーティストたちがいた。
そんな中、以前から気になっていた存在があった。
「ぷらそにか」。
それぞれがシンガーソングライターとして活動しながら、集まれば誰かの曲を一緒に歌い、演奏する。
一人ひとり、声が違う。
書く曲も違う。
音楽性も違う。
なのに、何人かが集まって歌った瞬間、不思議な一体感が生まれる。
YouTubeにアップされる演奏を見ているうちに、「ぷらそにか」というグループそのものよりも、そこにいる一人ひとりの音楽が気になるようになっていった。
そこで2020年、3人のシンガーソングライターに話を聞いた。
西山晃世。
幾田りら。
小玉ひかり。
聞きたかったのは、「ぷらそにか」のことだけではなかった。
なぜ音楽を始めたのか。
なぜシンガーソングライターになろうと思ったのか。
どんな音楽を聴いて育ったのか。
曲は、どうやって生まれるのか。
そして、この先どんなアーティストになりたいのか。
聞きたかったのは、「ぷらそにか」という場所についてだけではなかった。
むしろ知りたかったのは、
その場所に集まっていた、一人ひとりが、どんな音楽を持っているのか。
ということだった。
西山晃世には、自分の頭の中で鳴っている音を、自分の手で形にしようとする強さがあった。
幾田りらには、幼い頃から積み重ねてきた「歌うこと」への、揺るぎない思いがあった。
小玉ひかりには、自分の言葉とメロディーで誰かに何かを届けたいという、シンガーソングライターとしての原点があった。
3人とも若かった。
そして、まだそれぞれの道の途中にいた。
もちろん、この先に何が待っているのかなんて、誰にも分からなかった。
私たちにも分からなかった。
ただ、彼らの歌を聴き、話を聞いて、
「今、この3人の言葉を残しておきたい」
そう思った。
それが、このインタビューの始まりだった。
あれから、6年。
2026年。
あの取材から6年が経った。
3人は、それぞれの道を歩いている。
あの日には想像できなかった景色を見ている人もいる。
新しい場所で、自分の音楽と向き合い続けている人もいる。
だからこそ、今もう一度、2020年のインタビューを読み返してみたいと思った。
ただし、現在から過去を振り返って、
「あの時から未来は決まっていた」
と書くつもりはない。
未来なんて、誰にも分からない。
それよりも面白いのは、
まだ未来を知らなかった3人が、あの時、何を考え、何を信じて音楽を続けようとしていたのか。
そこにあると思う。
2020年の言葉を、2026年に読み直す。
今回、Eleven Music Magazineでは、当時の言葉と空気をできる限り残しながら、2020年に公開したインタビューをあらためて構成する。
発言を、2026年の結果に合わせて作り替えることはしない。
「あの発言は、現在の成功を予言していた」
そんな物語にもしたくない。
なぜなら、
2020年の3人には、2020年にしか話せなかった言葉があるからだ。
そして今、あらためて読み返してみると、当時は何気なく聞いていた言葉が、6年という時間を経て、少し違った響きを持って聞こえてくる。
それは、未来を予言していたからではない。
あの時、それぞれが本気で音楽と向き合い、自分のこれからを考えていた。その言葉の先に、今の3人がいるからだ。
2020年という時間の中にいた、西山晃世、幾田りら、小玉ひかり。
だから今、もう一度、あの日の3人に会いに行きたい。
最初は、西山晃世から。
ギターを弾く。
ドラムを叩く。
ベースを手にする。
曲を書く。
アレンジする。
レコーディングする。
ミックスする。
一つの曲を作るために必要なことを、自分自身の手でできるようになっていった西山晃世。
2020年のインタビューで、彼はこう話している。
「アレンジ込みで自分の曲というイメージがあったんだと思います。」
なぜ、そこまで自分でやろうと思ったのか。
そして、その音楽はどこから生まれたのか。
ここから、時計を2020年へ戻そう。
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Episode 1
西山晃世
― セルフプロデュースという才能
→ Episode 1へ
Interview & Text: Holly
Eleven Music Magazine

